リスキリングの前にオススメ【数学・物理学】
リスキリングを始める前に、学びの土台となる「数学」と「物理学」を見直してみましょう。『14歳からの数学』『14歳のための物理学』は、数字や科学が苦手な大人でも楽しめる、やさしい学び直しの入門書です。
リスキリングの前にオススメ【数学・物理学】
近年、リスキリング(学び直し)という言葉を頻繁に耳にするようになりました。しかし、それが「流行語」や「資格取得の手段」に留まっていないでしょうか。
AI、DX、デジタル化といったキーワードが並びますが、どれも“目的”ではなく“手段”です。学び直しにおいて本当に問われるのは、「何を学ぶか」ではなく「なぜ学ぶか」。
学び続ける姿勢こそが、時代を超えて価値を持ちます。
学ばなくなってしまった日本人
日本では、企業の人材教育の水準が国際的に見て低下しています。
- 厚生労働省『平成30年版 労働経済の分析』によれば、OJT以外の人材投資(GDP比)で日本は国際的に最低水準
- また、パーソル総合研究所の調査では、「社外学習・自己啓発をしていない人」が46.3%に上るとされている
こうした数値から「学ばない国・日本」と揶揄される現状があります。背景には、単年度主義や同調圧力、過度な計画主義など、日本特有の文化的要素もあります。
政府が進めるリスキリング政策は「雇用の維持」「成長分野への人材移動」を目的としていますが、それ自体は社会全体にとって重要な政策です。しかしながら個人レベルでは、モチベーションが持続しない“表層的な学び”に陥りやすいのが現実です。
特にAIの進化速度が著しい現代では、「とりあえずのリスキリング」では到底対応できないのが現実です。だからこそ、本質的で末永く役立つ学びに目を向ける必要があります。
何を学び直すべきか?
アメリカに『Study of Mathematically Precocious Youth(SMPY)』という長期追跡調査があります。これは1970年代から始まった研究で、13歳以前に数学SATで高得点を取った子どもたちを50年以上にわたって追跡したものです。
この研究では、若年期の数学的能力が、その後のSTEM分野での成功(博士号取得・特許・高収入)と強い相関を示しました。
もちろん、これは相関関係であり、数学を勉強した人が必ず成功するわけではありません。論理的思考力・問題解決力・抽象的思考といった数学的素養は、AI時代におけるすべてのリスキリングの“基礎言語”になるのです。
つまり、大人になってからでも、数的思考力を身につけることは大きなメリットがあると考えられます。
14歳からの数学
近年、日本では数学や物理学を苦手とする人が増えているという状況があります。しかし、デジタル化が進む現代社会において、論理的思考や数的センスは以前にも増して重要になっています。
リスキリングを考えているけれど、数字を見ると頭が痛くなる。そんな「数字アレルギー」の大人にこそ読んでほしい入門書です。
著者の佐治晴夫氏は、量子論を専門とする物理学者であり、詩的な言葉で数学を“美しい言語”として紹介します。
この本の魅力
- 数学を「世界を理解する言語」として語る
- 宇宙・音楽・日常に潜む数学の不思議を優しく描く
- 1週間の対話形式で、博士と話すような親しみやすさ
数学が苦手な人にも、“計算ではなく感性で触れる”新しい入口を与えてくれます。
この本で得られるもの
- 数学への興味・関心が芽生える
- 数的思考を「楽しい」と感じられる
- 学ぶ心理的ハードルが下がる
この本では得られないもの
- 計算力の強化
- 実務スキル・資格対策
つまり、学び直しの「準備運動」として、数学を再発見するための一冊です。
14歳のための物理学
もし『14歳からの数学』を読んで佐治博士の語り口に魅力を感じたなら、ぜひ次の一冊として『14歳のための物理学』も手に取ってみてください。
数学が「世界を表す言語」だとすれば、物理学は「世界の仕組みを解き明かす鍵」です。この本は、そんな物理の魅力を誰にでもわかる言葉で語ってくれます。
りんごが落ちる理由、空が青い理由、音が聞こえる理由。私たちが当たり前と思っている現象の背後にある法則を、やさしく詩的に描いています。
この本で得られるもの
この本を読むことで、多くの人が学生時代に抱いた「数学・物理学への苦手意識」を少しでも和らげることができるはずです。学び直しの第二歩この本で得られるもの
- 世界を“数式”ではなく“感覚”で理解する体験
- 物理現象の美しさに気づく
- 学ぶ意欲が自然に湧く
数学が思考を磨くなら、物理は「現実を見る目」を養う学問です。学び直しの第二歩として最適な一冊です。きっと、身の回りの現象を見る目が変わり、学ぶことへのさらなる意欲が湧いてくることでしょう。
まとめ:リスキリングの前にオススメ【数学・物理学】
リスキリングは、単なるスキル獲得ではなく、「学ぶ力を取り戻すこと」から始まります。『14歳からの数学』は、数学アレルギーを持つ大人が「学び直しの世界」に足を踏み入れるための、優しい案内書です。
即効性のあるスキルアップは期待できませんが、「学ぶことの楽しさ」を思い出させてくれる貴重な体験を提供してくれます。リスキリングを考えているけれど何から始めればいいかわからない方、数字に対する苦手意識を少しでも和らげたい方にとって、この本は良い「お試し」体験になるでしょう。
AI時代に必要なのは、技術よりも思考と探求の姿勢です。この2冊は、その入り口に立つすべての大人に贈りたい“再出発の書”なのです。
【紹介書籍】
(Amazon)14歳からの数学【佐治晴夫】
(Amazon)14歳のための物理学【佐治晴夫】
