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ボールの重さを決めるために、本当に知っておくべきこと【運動・動作分析】

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ボールの重さを決めるために、本当に知っておくべきこと【運動・動作分析】

投げるボールの重さはどうやって決めるべきなのか?

よく耳にするのは、「体重の約10分の1の重さを選ぶ」である。続編として、「マイボールなら、この重さより1、2ポンド重たいボールを投げることができる」である。
この「体重の約10分の1」「マイボールはプラス1、2ポンド」には明確な根拠があるのか?
それとも、界隈の不文律なのか?

体重を60kgと仮定しよう。

体重の10分の1は6kg、約13ポンドとなる。これはハウスボールを投げる話であり、マイボールならば15ポンドとなり、つまり6.8kgのボールを投げることができるという筋書きである。
ちなみに、陸上フィールド競技である砲丸投げでは、ボールの重さは男子16ポンド(およそ7.3kg)女子およそ8.8ポンド(4kg)である(※径に差異あり)。

あなたが体重60kgだと仮定しよう。

ドリラーにメジャーしてもらい、マイボールを作ってもらったとして、6.8kgのボールを投げることはできるのだろうか?
もちろん、1球だけ投げるとか、1ゲームしか投げないとか、前提条件を増やしてしまえば、意味がなくなってしまう。視野に広げて、汎用性のある仮定条件を設定してみよう。

  1. 体重60kg
  2. 経験十分なドリラーに、しっかりメジャーしてもらい、マイボールを作ってもらう
  3. これまで13ポンドのハウスボールで週3回、5~10ゲーム遊んでいる(2か月継続中)
  4. シューズはマイシューズを購入済み
  5. 右手、片手で投げる

この仮定条件ならば、どこにでもありそうな話ではないだろうか?
そして、この話を聞いたマイボウラーやドリラーは、15ポンドでマイボールを作ることを勧めてくれるのではないだろうか?

ボウリングをスポーツ競技として嗜むことは、ほかの競技と比べて容易である。例えば、60歳を越えて、初めてサッカーやテニスに挑戦しようと思うと、体力的にも技術的にもかなり大変であろうことは、想像に難くない。
だがボウリングは、レクリエーションやアミューズとして楽しむことができる強度の、スポーツ競技である。老若男女、誰でも簡単に挑戦することができる、この敷居の低さが魅力でもある。そして、レクリエーションなどからのめりこみ、ガチンコ競技として嗜み始める方が大勢いる。

ここで一度、立ち止まって考えて欲しい。
運動経験がある人、つまり、身体に運動経験値がある人と、全く運動経験のない人が、明確に混在する競技なのだ。ほかの競技と比べて、競技に挑戦する敷居が低い分だけ、運動経験がない人が競技者=マイボウラーに転じることは少なくない。
競技ボウリングは、スポーツである。だが、マイボウラー全てがスポーツ競技者として、十分な身体を保持しているかは、別問題である。

こうなると、スポーツの常識は度外視しなければならない。何故ならば、ほかの競技と違って、基礎訓練をほとんど実施しない競技だからである。
野球、サッカー、テニス、バドミントン、バスケットボール、バレーボール、卓球…と競技を挙げればきりがないが、どの競技も、競技そのものの前に、基礎訓練を行っているはずだ。およそランニングからスタートし、キャッチボール、パス回しやラリー練習などをしているだろう。
ボウリングをする前に、ランニングをし、大会前に事前練習ゲームを消化して、競技会に参加しているマイボウラーはどれだけ存在しているのだろうか?

ほかの競技と比べた場合、ボウリングのみを競技として行っている人々は、競技者として、十分に体を動かせていないことを加味しなければならないのだ。もちろん、準備体操やストレッチは行っているだろう。
それで、本当に身体は動いてくれるのだろうか?自分の思い通りに動かすことができているのだろうか?

そして、隘路となるのがボールの重さである。
地球上で、重力から逃れることはできない。重さが重たくなるほど、重力はそれだけ大きくなり、その重力に逆らって動くには、より大きな力が必要になる。
先ほど、砲丸投げのボールの重さを紹介した。男性だと16ポンドである。あなたは、これを15ポンドに軽くしたならば、自分も投げることができると考えるだろうか?
大半の人は、基礎訓練をせず、投球方法も知らず、砲丸投げをすることはできない、けがをしてしまう、などと考えるのではないだろうか?
では、ボウリングの15ポンドは、どうしてマイボールにしただけで、投球が可能であると考えられるのだろうか?先の仮定条件で示した、週3回の練習はトレーナーやコーチに習うという話なのだろうか?

さて、本題に戻そう。

重たいボールを投げるために、身体で動作を行う。
私は、この投球動作を動作分析から考える。『運動学』ではなく、『運動学的動作分析』を行うのは、動作を行うボウラーが、競技に十分な身体を作り上げていない可能性が高いからである。動作分析は、スポーツのみを対象としているものではない。身体をもつ我々すべてに、共通する知識であるからだ。

まず、歩く動作を考えてみよう。

左足が前に出ることで、体重が前に移動する。そのままだと転倒してしまうので、バランスを取るために、右手が前、左手が後ろに動作する。この動作は、自動である。右足が後ろに残ることで、身体全体のバランスは保たれている。
右手と左手、右足と左足、逆方向に振り合うことで、やじろべいのように体のそのもののバランスを保つ。これは、自動で動作しているのであり、一歩踏み出すたびに、右手を前、左手を後ろ、足は左が前で右が後ろ、次は逆に動かして…などと考えている人はいないはずである。

では、投球動作を考えてみよう。

右手に重量物である、ボールを持っている。歩くときと同様に、左手でバランスを取ろうとしても、右手+ボール、左手の重さは均一ではなくなってしまったために、身体全体のバランスが取れず、転倒の可能性が高くなるはずだ。しかし、実際に転倒してしまう人は、ほとんどいないはずである。

では、このボールの重さはどこでバランスを取っているのだろうか?

身体に占める、部位体重の割合はある程度決まっている。胴体は体重の約46%、片腕は約8%、片脚は約15%である。右腕、左腕は同じ重さなので、振り合うことでバランスが取れる。当然、脚も同じ重さなので、振り合えばバランスを取ることができる。腕と脚が振り合った場合は、胴体の重さがバランスを取ってくれているのである。
体重が60kgを仮定している。腕は4.8kgずつ。足は9kgずつ。胴体は27.6kg。
つまり、腕、脚が振り合うことで発生する重さは、4.8×2+9×2=27.6の胴体部分と一致してしまう。つまり、重量物を支える重量は、胴体部分には残されていない。

これまでに説明していない身体の部位は、どこかあるのだろうか?

それは、頭部である。頭部は、体重の約8%を占める。
投球時にカウンターウエイト(釣り合いを取るための重りの総称)としてボールの重さとバランスを取っていたのは、頭部の重さであるのだ。

これが、界隈の不文律として提唱されている「体重の約10分の1の重さ」の正体だと、私は推測している。

ボールでなくても、人間はいろんな重さのものを持つし、いろんな動きをしている。体重だけでは計算なんかできない。
とあなたが言いたい気持ちはわかるし、当たり前にスポーツ選手は体幹を鍛えている。胴体の重さとは別に、体幹の筋力(腹筋と背筋)が働くことで、カウンターウエイトがなくても身体バランスを取ることができるだろう。

もう一度、仮定条件を思い出して欲しい。

  1. 体重60kg
  2. 経験十分なドリラーに、しっかりメジャーしてもらい、マイボールを作ってもらう
  3. これまで13ポンドのハウスボールで週3回、5~10ゲーム遊んでいる(2か月継続中)
  4. シューズはマイシューズを購入済み
  5. 右手、片手で投げる

体重60kgの約8%は、4.8kgおよそ10.5ポンドである。13ポンドのボールを投げられるだけのトレーニングは、2か月の継続練習で身についているのかもしれない。
では、15ポンドは?
基本訓練により、ボールの重さに耐えうる体があるのだろうか?
競技として、そのボールを安定して投げることができるのだろうか?

まとめ:ボールの重さを決めるために、本当に知っておくべきこと【運動・動作分析】

動作分析による私の結論は、ハウスボールは体重の12分の1、マイボールは体重の10分の1(理論値より1~2ポンドは重たい)を選ぶ、である。

ボウリングが楽しくなって、たくさん練習をして、競技に耐えうる身体ができあがってから、ボールの重さを重くしていくことを推奨する。
(※仮定条件から大きく逸脱する条件がある場合は、重くすることも軽くすることも、もちろん推奨する。)

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満稀(みつき)
満稀(みつき)
全くボウリングに向いていない運営者
ボウリングに向いている部分は、なにひとつありません。なにひとつ向いていないからこそ、ひとつひとつに対して、ボウリングについて真剣に考えます。
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