QC検定2級を受検して返り討ちにされた話
QC検定2級に挑戦しましたが不合格でした。範囲が広く難易度も高く、3級とは比べものになりません。試験の特徴や学び方の工夫を体験としてまとめています。
QC検定2級を受検して返り討ちにされた話
会社でQC検定3級の受検を勧められ、挑戦して合格。その勢いのまま2級にも挑んだのですが、結果は不合格でした。
とはいえ、勉強した時間は無駄ではありません。これからQC検定2級を受検する方の参考になるよう、体験を3つのポイントで整理します。
- 2級と3級との違い
- 参考書と勉強方法
- 2級に必要な学習コストと取得価値
2級と3級との違い
QC検定の仕組み全体は、公式サイトに詳しくまとめられています。
2級と3級との大きな違いは、試験の対象者、範囲、難易度です。
対象者の違い(実務レベルが段違い)
【3級】業種・業態にかかわらず自分たちの職場の問題解決を行う全社員、品質管理を学ぶ大学生・高専生・高校生
→品質管理に携わる方や品質管理の基本的な知識を身につけたい方が対象
【2級】自部門の品質問題解決をリードできるスタッフ、品質にかかわる部署の管理職・スタッフ
→より経験があり、深い品質管理の知識を求められるポジションに従事する方が対象。例えば、小集団活動や品質改善プロジェクトのリーダーなど。
試験範囲の違い(深さがまったく別物)
【3級】品質管理の基本的な理論や手法
→品質の基本概念と原則、統計的手法の基礎、基本的な品質改善プロセス、基本的な品質管理ツールの使用など
【2級】高度で幅広い品質管理の知識と実践的なスキル
→品質管理の基本、統計的手法の理解と応用、品質改善プロセスの計画と実行、品質マネジメントシステムの構築と維持、高度な品質改善手法など。
難易度(数字以上に手強い)
■品質管理の実践
【3級】基本的な品質管理の実践に焦点を当てている。QC的ものの見方・考え方、品質に関する定義と基本的な考え方など。
【2級】高度で実践的な知識が必要。品質改善プロジェクト全体を計画し実行するスキルや、統計的手法を実践的な状況で適用する能力が強調されている。
■品質管理の手法
【3級】基本的な統計的手法やツールの理解と使用が中心。手法やツールの基本的な適用が求められる。
【2級】計量値・計数値データに基づく検定と推定や実験計画法など、より高度で専門的な手法への理解が求められる。これらの手法を実践的な状況で利用し、問題解決に役立てるスキルが重要。
3級は、基本的な品質管理・改善活動を必要に応じて支援を受けながら実施できるレベルが目標です。これに対して2級は、基本的な品質管理・改善活動を自立的に実施できるレベルが求められます。特に、実践的なプロジェクト管理や高度な品質管理手法への理解が重要です。
2級の合格率は20〜40%程度で推移しており、第36回2023年9月の合格率は23.92%でした。【参考:2023/10/12 品質管理センター(受検データ)】
しかし、私の実感では数字以上に難しく、計算問題の重さと表現の難しさに苦戦しました。実務経験がある人ほど有利という印象です。
参考書と勉強方法
参考書

(Amazon)ゼロからわかる!QC検定2級 テキスト&問題集
(Amazon)過去問題で学ぶQC検定2級 2023年版
量・質ともに十分な内容ですが、私の場合は“練度不足”が敗因でした。大きな反省点として、品質管理の計算問題で時間がかかり、試験本番で巻き返せなかったことです。問題集をもう少し周回できれば、違う結果を残せたと思います。

勉強方法
- 公式は丸暗記??
- 過去問題を周回??
3級受検時に、会社での勉強会で、このふたつが重要であると講師から説明を受けました。3級、2級を受検し、やはりこの勉強方法ではこれからの合格は難しいでしょう。
私がおすすめする勉強方法は、次の3つです。
① 参考書の理解
QC検定2級の参考書をしっかりと理解しましょう。章ごとに重要なポイントを把握し、基本的な概念を確実に理解します。
② 過去問題の周回と試験形式(出題スタイル)の理解
過去問題を周回することで、試験の形式や出題スタイルを理解し、自身の理解度や弱点を把握します。解答した後に解説を確認し、誤った理解を修正します。
また、近年、新傾向での出題が見受けられます。新傾向の問題に試験時間を割り当てるためにも、過去問題の対策は万全にしておきたいです。
③ 実践的なプロジェクトへの参加
品質管理の実践的なプロジェクトに参加することで、理論を実践に結びつけます。会社のプロジェクトなどに参加できると、知識が経験によって補完されるため、とてもおすすめです。他には、トレーニングプログラムやセミナー、オンラインコミュニティで模擬プロジェクトに参加する方法があります。
私は、①はきちんと勉強ができ、③は会社のカイゼン活動プロジェクトに参加し、経験を積むことができたのですが、②が不十分でした。受検の機会があれば、この勉強方法をしっかり実行して、合格を勝ち取ります。
2級に必要な学習コストと取得価値
勉強は、タダではありません。
大きく「時間」と「費用」のコストがかかります。あんなに勉強したのに、あんなに参考書と問題集を買ったのに、と後悔しないためにも、受検を決める前にコスト計算しておきましょう。
時間コスト
QC検定2級合格には、100〜300時間程度の学習が必要と言われています。また、3級とは比べものにならず、まとまった学習時間が必須です。
- 基礎知識の確認(20〜30時間): 参考書を通じて試験の範囲を確認し、不足している部分を補強
- 試験範囲の理解(40〜60時間): 参考書を読み、試験範囲の理解を深める
- 過去問題の解答と解説(30〜50時間): 過去問題を解答、解説を確認し、試験出題スタイルに慣れる
- 弱点克服と復習(20〜30時間): 過去問題や勉強内容を振り返り、弱点を特定して克服する
費用コスト
紹介した参考書2冊 5,940円(紙書籍)
受検料 6,380円(個人申し込み)
※基本費用は併せて 12,320円(2023/12/21 現在)
通信講座や問題集追加購入を考えると、さらに上がります。
取得価値
受ける意味はもちろんあります。ただし“誰にとってもメリット”ではなく、あくまで役割・職務に依存します。
【取得価値の一例】
- 専門的な知識の向上:品質管理の専門家としての知識、スキルや理解を向上させる
- 職業上の成長:品質管理は多くの業界で重要な役割を果たしており、資格保有により、品質改善やプロセス効率化のプロジェクトに参加しやすくなる。そのため、職業上の成長や昇進に繋がる可能性がある
- 就職や転職の強み:求人募集や転職の際に、履歴書や職務経歴書にアピールポイントとして記載することができる
- 自己達成と学習機会:品質管理の知識を深め、スキルを向上させることは、自己達成と学習機会の提供となる。また、自分のキャリアや専門知識の発展につながる。
特に、製造業・品質保証・サービス品質管理などに携わっている人は効果が大きいでしょう。
QC検定2級を受検してみようと思う方は
2023年現在、CBT方式はなく、試験会場での筆記試験です。毎年2回、3月と9月に全国約120か所で実施されています。出題の“日本語力+計算力+統計的理解”がセットで必要なため、決して簡単な試験ではありません。
受験者の経験と知識、実務経験によって、難易度の感じ方は異なるかもしれませんが、2級は少なくとも簡単な試験ではありません。しっかり勉強して、受検する必要があります。
私の率直な感想はこれです。
「算数&数学が本気で苦手な人は、心が折れる可能性が高い」
それでも、不合格だった私はまた挑戦したいと思っています。得た学びが大きく、品質と統計の理解が確実に深まったからです。
まとめ:QC検定2級を受検して返り討ちにされた話
3点に絞り、2級の受検してみた結果をお話させていただきました。
- 2級と3級の違い:対象者・範囲・難易度すべてが別物
- 参考書と勉強方法:丸暗記では通用しない。理解・練度・実務がカギ
- 勉強コストと取得価値:時間も費用もかかるが、得られる強みは大きい
「QC検定3級」は社会人に強くおすすめできます。
・詳しくはこちら
→QC検定3級を受検してみた
しかし2級は難易度が一気に上がるため、3級合格後にじっくり検討するのが賢明です。
【使用参考書】
(Amazon)ゼロからわかる!QC検定2級 テキスト&問題集
(Amazon)過去問題で学ぶQC検定2級 2023年版
