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書籍レビュー:NewsDiet【ロルフ・ドベリ】

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『NewsDiet』は、情報過多の時代にニュースとの距離を意識的にとる方法を教えてくれる本です。「全部遮断」ではなく、本当に必要な情報だけを選ぶ習慣で、時間と心の余白を取り戻します。

書籍レビュー:NewsDiet【ロルフ・ドベリ】

「ニュースは害になる(News is bad for you)」。

この挑戦的な見出しの記事が、多くの人に読まれたという皮肉な出来事がありました。ニュースの害を警告する記事が、ニュースとして注目を浴びる―それほど、私たちは情報に惹きつけられ、消費せずにはいられない生き物なのです。

私たちの毎日は、スマホの通知やSNSのフィード、テレビやラジオのニュースで埋め尽くされています。気づけば一日中、世界の出来事が頭の中を通過していき、何を本当に理解したのか曖昧なまま次のトピックへと流されてしまう。そんな現代にこそ必要だと感じたのが、この『NewsDiet【ロルフ・ドベリ】』でした。

この本は、「コントロールできることに集中しよう」「自分の時間を取り戻そう」という考え方を土台に、ニュースを“減らす”という逆説的なライフスタイルを提案しています。私は本書を手に取り、実際に「ニュースダイエット」を試してみることにしました。

シンプルライフを目指す私が、この本から学んだことと、実際にニュースダイエットを実践して得られた変化についてお話したいと思います。

  • おだやかなニュースダイエットのすすめ
  • ニュースはあなたとは「無関係」である
  • ニュースが及ぼす具体的な害

おだやかなニュースダイエットのすすめ

ニュースは精神の砂糖である

著者はニュースを「精神の砂糖」に例えます。砂糖が短期的な快楽をもたらす一方で、長期的には体をむしばむように、ニュースも一瞬の満足感と引き換えに、集中力や心の健康を削っていくのです。

人間の脳は進化の過程で「危険をいち早く察知する」仕組みを獲得しました。だからセンセーショナルな情報や悲惨な出来事に本能的に反応してしまう。メディアはこの特性を熟知し、刺激的なニュースを前面に押し出す傾向があります。

私も以前は、朝起きればとりあえずニュース番組をつけ、夜寝る前にはSNSで最新のトピックを確認していました。けれど気づけば心は落ち着かず、頭の中は断片的な情報でいっぱい。深く考える時間はどんどん減っていきました。

まずは、テレビを“ながら視聴”しないようにしました。次に朝と夜のニュースチェックを減らしていく。すると静かな時間が生まれ、自分の思考に集中できるようになったのです。最終的にはテレビそのものを手放し、本当に必要な情報だけを選んで取り入れる習慣に落ち着きました。

情報過多と自信過剰の関係

さらに興味深いのは、情報量が多いほど人は「自信過剰」になるという心理学的事実です。多くの情報を得ることで「自分は世界を理解している」という錯覚に陥り、実は表面的な理解にとどまっているにもかかわらず、確固たる意見を持ってしまうのです。ドベリは、これをニュース消費の弊害のひとつとして挙げています。

私もニュースダイエットを始め前は、「会話についていけなくなる」という心配がありました。しかし実際には、重要なニュースは自然と耳に入ってきますし、同僚や友人が教えてくれることが多いです。著者が仰るとおり、必要なニュースは会話から勉強させてもらうことができますし、本当に気になるもの、仕事などで必要なニュース、情報は教えてもらった後に確認すれば十分だったことに気づけました。

私の経験では、「ニュースは知らないけれど教えてもらえると嬉しい」と素直に伝えることで、むしろ会話が弾むことが多いです。相手に教えてもらうという姿勢が、より深い対話につながるのです。無理に苦手な話題や刺激の強い話題を掘り下げる必要がなく、とても良い会話環境であると、私は考えています。

ニュースはあなたとは「無関係」である

膨大な量のニュース消費

市場調査結果では、現代の平均的な人は年間約2万本ものニュースに触れていると言われています。毎日約55本、1時間に2〜3本のニュースを消費している計算になります。これは膨大な時間と注意力の投資です。これだけ時間と注意を投資しても、一週間前の政治ニュースの内容を具体的に覚えている人はどれほどいるでしょうか。

そして、『NewsDiet』は鋭い指摘をします。「報じられていない出来事の方が、重要度が高い」ことが多いのです。メディアが伝えるのは、視聴率や閲覧数を稼げる「刺激的な」事象であり、真に重要な事象ではありません。

私は、例えばスポーツが好きな方は、スポーツニュースやダイジェストを確認するのが良いと考えます。好きなスポーツチームの試合結果や推し選手の活動であれば、細部まで長い期間覚えているはずですし、その内容を幾度も思い返して楽しむことができます。つまり、私たちにとって大事なのは「情報の量」ではなく、「関心のある情報をどう取り込むか」なのです。

真の貴重な資源は「時間」

著者は「私たちが本当に倹約すべき唯一の財産は『時間』である」と主張します。お金は増やすことができますが、時間は誰にでも平等に与えられ、一度失えば二度と取り戻せない貴重な資源です。

ニュースの大半は、私たちの人生に直接影響を与えることはなく、行動変容にもつながりません。それなのに私たちは貴重な時間を費やし、多くの場合、消費した後に何も残らない情報に心を奪われているのです。

先程も述べましたが、興味のない政治・経済のニュースをいくつ見ましたか?そして、そこから何を考えて、何を学びましたか?今日ではなく、昨日はどうでしたか?一週間前は、何を得ましたか?

もし、この答えが明確に出てこないのであれば、残念ですが、あなたはニュースで時間を浪費してしまっただけなのでしょう。

ニュースが及ぼす具体的な害

思考を妨げる

ニュースの短く断片的な性質は、深い思考を妨げます。複雑な問題を理解するには時間をかけた集中的な思考が必要ですが、次々と新しい情報が流れてくるニュースサイクルは、そうした深い思考の機会を奪います。

最近集中力がない、思考がまとまらない、深い思考ができないという方は、一度、ニュースとの付き合い方を見直す必要があるかもしれません。

脳を変化させる

驚くべきことに、常にニュースを消費する習慣は実際に脳の構造を変えることが研究で示されています。注意力散漫になり、集中力が低下し、短期的な刺激に反応しやすい脳へと変化してしまうのです。

ニュースだけではなく、ショート動画などでも同じ現象が起きるようです。細切れの情報に触れていないかどうか、自分自身でチェックしましょう。

受け身にする

ニュースは情報を一方的に「受け取る」形式であるため、批判的思考や能動的な情報処理を弱めます。私たちは「世界で何が起きているか」を知っているつもりになりますが、実際には表層的な理解(浅い理解)にとどまり、真の知恵には到達できません。

つまり、深い思考が奪われることで受け身が常態化してしまうのです。自分の人生を自分の手に取り戻すため、ニュースはほどよく摂取したいですね。

私がニュースダイエットで得られたもの

解放された時間

私がニュースダイエットを始めて最初に気づいたのは、はっきりと時間が解放されたことです。朝のニュースチェックと夜のニュースチェックをやめるだけでも、1日に1〜2時間も時間が生まれました。

この時間を読書や勉強に使うようになり、生活の質が向上しました。特に朝の時間がニュースではなく自分自身のために使えるようになったことは、一日のスタートを穏やかにしてくれます。

手に入れた心の平穏

ニュースダイエットの最大の恩恵は、心の平穏です。毎日のように報じられる悲惨な事件、政治対立、環境問題など、これらはすべて重要な問題ですが、常にそれらを意識していると精神的な負担になります。

私は、ニュースダイエットを始めてから、不安感が減り、現在の瞬間に集中できるようになりました。世界の問題から目を背けるのではなく、自分が実際に影響を与えられる範囲に意識を向けるようになったのです。正しく世界と向き合うためにも、受け身のニュースチェックは卒業しました。

正しい知識の学び方

ニュースを減らす代わりに、良質な書籍や論文を読み、じっくりと勉強に取り組む習慣をつけました。これにより、表面的ではない深い理解が得られるようになったと感じています。改めて、時事問題について知りたい場合は、質の高い雑誌や、特定のテーマについて掘り下げた書籍を選ぶようにしました。こうした情報源は、日々のニュースよりも文脈が豊かで、バランスの取れた視点を提供してくれます。

すべてのニュースが悪いわけではありません。大切なのは「何を」「どのように」消費するかです。私は以下のような基準で情報源を選別しています。

  • 自分が本当に関心のある分野の情報だけを選ぶ(スポーツが好きならスポーツニュース、政治経済に興味があればその分野)
  • 速報性よりも正確性と深い分析を重視したメディア
  • 週刊・月刊の良質な雑誌や専門書
  • 信頼できる人からの情報(同僚や友人との会話から得られる情報)

私は、自分に必要な知識を取捨選択することにより、正しく知識を学ぶと同時に、時間を有効活用することができるようになったのです。「ニュースを減らすこと」は、知識を減らすことではありません。むしろ、本当に必要な情報を選んで受け止めるための余白を作ることなのだと感じています。

まとめ:NewsDiet【ロルフ・ドベリ】

『NewsDiet』の本質的なメッセージは、ニュースを完全に断つことではなく、情報との関係を意識的に選び直すことにあります。自分の時間と注意力という貴重な資源を、本当に価値のあることに使うための提案です。

私自身も実践を通して、時間と心の余裕を取り戻し、思考や学びの質を高めることができました。もちろん、世界で起きていることに無関心になったわけではありません。むしろ、真に重要な問題に対して、より効果的に行動できるようになったと感じています。

あなたも「ニュースダイエット」を試してみませんか?「世界から切り離される」のではなく、「自分の人生を自分の手に取り戻す」ために。ニュースとの付き合い方を変えるだけで、こんなにも暮らしは軽やかになるのだと、この本は教えてくれます。

おまけ:本から広がる暮らしのヒント

ここからは、本から広がる小さな暮らしのヒントを紹介しますね。

私が暮らしにどう活かしたか

ニュースダイエットを始めて、私が一番実感したのは「朝の静けさ」でした。

以前は目覚めると同時にテレビをつけ、ニュースアプリを開き、気づけば不安や怒りを抱えたまま出勤していました。今は朝の時間を読書や勉強に使っています。情報に追われるのではなく、自分で始める一日。心の落ち着きがまったく違います。

おすすめKindle端末

ニュース記事をスクロールする時間を減らし、その代わりに本を読む時間を増やしたい人には、Kindle電子書籍リーダー『Kindle Paperwhite』をおすすめします。ブルーライトが少なく目に優しいので、夜のリラックスタイムにもぴったり。情報断捨離と相性の良い「持たない読書」の実践道具です。

著者の別作品

ロルフ・ドベリの『Think Clearly』は、日々の意思決定をシンプルに整理してくれる一冊です。『NewsDiet』で「情報を減らす」ことを学んだら、『Think Clearly』で「考え方を整える」実践に進むと、暮らし全体がよりすっきりしていきます。

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満稀(みつき)
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