「集中力」の話をしよう【有料記事】

「集中力」の話をしよう【有料記事】
みなさまからのリクエストで、スポーツにおける「集中力」について勉強させていただいた。その結果、ボウリングで活用すべき「集中力」について、ひとつに取りまとめて、真剣に話をする。
有料記事の内容
前提を学ぶ
① 注意力と意志力の違い
注意力は、特定の情報や刺激に対して、選択的に意識を集中させる能力であり、意志力は、目標を達成するために自分の行動や感情を制御する能力である。効果的に注意力と意志力を活用するためには、環境を整えたり、適切な休息を取ったりすることが重要となる。これにより、両者の能力を最大限に引き出すことができるだろう。
② 注意力の向こう側にある集中力
「アテンション・スパン」 著者のグロリア・マーク博士の研究によると、ここ20年ほどで現代人の平均的な注意力は年々減少してしまっている。これは、デジタルデバイスにおけるマルチタスクやインターネットなどが、主な原因になっていると考えられている。
③ 注意力を取り戻す
注意力を取り戻すためには、「メタ意識を高める」「注意力リズムを活用する」「暗黙の注意力を管理する」などの方法が推奨される。
「注意力」をコントロールする方法
注意力をコントロールする目的は、「どこを見るか」をコントロールすることである。また、コントロールできない問題点は、いろんなものに気を取られてしまい、注意が散漫になってしまうことである。この改善アプローチ方法を、3つの視点に分けて解説する。
「集中力」を発揮する方法
集中力を発揮する目的は、「そこを見続ける力」を発揮することである。また、発揮できない問題点は、選んだ作業を続けられス、すぐ飽きて疲れてしまうことである。この改善アプローチ方法を、3つの視点に分けて解説する。
まとめ:「集中力」の話をしよう【有料記事】
かなりマニアックに「集中力」について解説している。また、集中力を育てるためには、個人特性を十二分に踏まえる必要がある。かなり本気で取り組みたい方以外には理解しにくく、活用しにくいことが予想される。また、「理論があっても、実践しなければ意味がない」ものであるため、十分な自己責任において有料記事の購入をお願いしたい。
【参考資料】
(Amazon)超人の秘密 エクストリームスポーツとフロー体験【スティーブン・コトラー】
(Amazon)ATTENTION SPAN デジタル時代の「集中力」の科学【グロリア・マーク】
(Amazon)ファスト&スロー【ダニエル・カールマン】
(Amazon)ノイズ【ダニエル・カールマン】

【スライド02:集中力の正体って何だろう?】

【スライド03:集中力の正体:①心理学的視点】
心理学では、集中力は「注意」として理解されている。注意は、特定の情報に焦点を当てる能力であり、周囲の雑音や他の刺激を無視することを含む。
例えば、カクテルパーティ効果は、騒がしい環境でも自分の名前が呼ばれるとその会話に注意を向ける現象。
このように、注意は選択的であり、情報処理の限界があることが示されている。
また、集中力は状況によって変化する。
興味のあることや好きなことには高い集中力を発揮できる一方で、興味がないタスクには注意が散漫になることが多い。
このため、心理的な安全性や自己肯定感が高い状態では、集中力が持続しやすくなる。

【スライド04:集中力の正体:②脳科学的視点】
脳科学の観点から見ると、集中力は脳内の特定の領域の活動に依存している。
特に、線条体という部分が「やる気」や「集中力」に関与しており、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が重要な役割を果たす。
これらの物質は、集中力を高めるための動機付けや緊張感を生み出す。
また、実行機能という脳の働きも集中力に影響を与える。
実行機能は、複雑な作業を行う際に必要な情報を管理し、注意を適切に配分する役割を担っている。
しかし、実行機能に負荷がかかると、注意が散漫になりやすくなる。

【スライド05:集中力の正体:③フロー状態(ゾーン)との関連】
フロー状態は、集中力が極度に高まり、時間感覚が変わるほどの没入感を伴う精神状態のこと。
この状態では、課題の難易度と自分の能力が適切にバランスを取っていることが重要である。
フロー状態に入ると、自己意識が薄れ、行動そのものに没頭する感覚が得られる。
フロー状態は、アスリートやクリエイターが最高のパフォーマンスを発揮する際にしばしば経験される。
この状態に入るためには、挑戦的な課題に対して注意を集中させることが必要であり、心理的な安全性や適切な環境も重要である。

【スライド06:集中できない人たち】
・心理学的視点で「集中できない」ことを「良くないこと」とすることは、良くない(例:学校の授業や会社でのオフィス勤務など)
・脳科学的視点を持つことで、どうしても集中できない人たちが存在する
① 病気や疲労状態などである(黒文字)
② 遺伝子特性である(青文字)
③ 脳機能特性である(赤文字)
・集中できない場合は、上記のいずれかに属しているのかを確認しなければいけない
・集中できないのは、あなたの特性上仕方がないことかもしれない
・集中できないのは、あなたに合った集中の方法をあなたが知らないだけかもしれない

【スライド07:目次】
・前提を学ぶ
① 注意力と意志力の違い
② 注意力の向こう側にある集中力
③ 注意力を取り戻す
・「注意力」をコントロールする方法
・「集中力」を発揮する方法
・本日の結言

【スライド08:①注意力と意志力の違い:注意力とは?】
定義:注意力は、特定の情報や刺激に対して、選択的に意識を集中させる能力
これは、外部からの情報を選択的に処理し、重要な事柄に焦点を当てることを可能にする。
特性:注意力は、短期間で変動しやすく、外部の刺激や内部の思考によって影響を受ける
注意力が高いと、特定のタスクに深く集中でき、効率的に作業を進めることができる。
役割:注意力は、学習や仕事において重要な要素であり、情報の理解や記憶に直接影響を与える
注意力が不足すると、集中力が散漫になり、パフォーマンスが低下する。

【スライド09:①注意力と意志力の違い:意志力とは?】※意志力=ウィル・パワー
定義:意志力は、目標を達成するために自分の行動や感情を制御する能力
これは、短期的な誘惑を抑え、長期的な目標に向かって努力する力を指す。
特性: 意志力は、自己制御や自己管理に関連しており、特定の状況での選択や行動に影響を与える
意志力は「筋肉」のように鍛えることができ、使うことで強化される一方で、過度に使うと疲労することもある。
役割: 意志力は、目標達成や習慣形成において重要な役割を果たす
強い意志力を持つ人は、困難な状況でも目標に向かって努力し続けることができるため、成功を収めやすい。

【スライド10:①注意力と意志力の違い:注意力と意志力の関係】
相互依存: 注意力と意志力は密接に関連している
高い注意力があれば、意志力を使って目標に集中しやすくなる。また、意志力が強いと、注意を特定のタスクに向けることができ、集中力を維持する助けになる。
戦略の重要性: 効果的に注意力と意志力を活用するためには、環境を整えたり、適切な休息を取ったりすることが重要
これにより、両者の能力を最大限に引き出すことができる。

【スライド11:そんなこと…わざわざ説明されなくても、知ってるよ!】
※強い意志力があれば、高い集中力を発揮できるのか?

【スライド12:②注意力の向こう側にしかない集中力:集中できなくなった人類】
「アテンション・スパン」
著者のグロリア・マーク博士は、カリフォルニア大学で情報学を教えている20年以上にわたって、人間の注意力について研究してきた有名な先生
・博士が行った注意力トラッキング研究(コンピュータの画面に注意を向け続ける)によると、現代人の平均的な注意力は年々減少
2004年150秒
2012年75秒
2021年47秒(平均的な持続時間は44秒~50秒)

【スライド13:②注意力の向こう側にある集中力:集中できなくなった人類】
・マルチタスクが、人間の注意力を削る
タスクの達成時間が増えてしまうのは「スイッチコスト(切替費用)」のためである。
すぐに次の作業に移ろうとしても、前の情報が頭の中に残り続け、次に行う作業への注意が妨げられる。
・タスクの完了時間が遅くなり、ミス(エラー)が増え、ストレスが激増する
ある研究では、マルチタスクをする医師は「処方箋ミス」が増え、そのうちには薬や用量を誤るという深刻なミスが内包されていた。
マルチタスクはストレスを引き起こし、血圧と心拍数を上昇させる。
実際に、よくマルチタスクを行う人は、病気に対する免疫力が低下することがわかっている。

【スライド14:②注意力の向こう側にある集中力:集中できなくなった人類】
・ネットコンテンツ構造が、人間の記憶や思考と同じように設計されている
人間の記憶は、概念が互いに関連付けられる意味ネットワークであり、情報をチェックする順番が決まっておらず、
ひとつのデータから好きなように連想された別のデータへ飛び移る。
これは、ウェブデザインと同じ構造であり、私たちの脳は想像力を刺激され、インターネットサーフィンを始めるとやめられなくなってしまう。
・レコメンド機能(※ユーザの興味や行動に基づいて、最適な商品やサービスを自動的に提案するシステム)
レコメンド機能は、瞬時に満足感を得られるコンテンツを提供することが多く、これがユーザの注意を引き続ける要因となる。
また、ユーザに特定の選択肢を提示することで、他の選択肢を考慮する機会を奪い、選択的注意の能力を低下させることにつながる。さらに、レコメンド機能に依存することで、ユーザは自ら情報を探し出す努力を怠るようになる。
※最終的には、思考力や判断力が低下し、注意力を持続させる能力が損なわれ、認知機能の低下を招く可能性がある。
・デジタルフェノタイピング(※スマホやウェアラブルデバイスを用いて、個人の行動や生理的データをリアルタイムで収集・分析する手法)
常時監視の感覚は、ユーザに「見られている」という意識を強め、行動を変化させる可能性がある。
ユーザは多くの情報にさらされ、情報の過剰供給は、注意力を分散させ、重要な情報に集中することを難しくする。
特に、データが多様であるほど、どの情報に注意を向けるべきかの判断が難しくなってしまう。
ユーザに対して自分の行動や感情を常に意識させるため、精神的な負担が増加してしまう。
この負担は、注意力を維持するためのリソースを消耗させ、結果として集中力が低下する。
※個々の健康状態や行動パターンを理解するための新しいアプローチ
※メリットとして、個別化された治療、早期発見と予防、データの客観性がある

【スライド15:①運動学習:運動学習の評価】
・ショート動画中毒
短くテンポの良い内容(15秒~1分程度)で、個人最適化されたアルゴリズムで興味を引くコンテンツを次々に表示する。
また、視覚・聴覚を刺激する内容が多い。
こうした要素の組み合わせで、脳内の報酬システムが過剰に刺激されやめられなくなってしまう。
※注意力トラッキング研究の、現代人の注意力時間は47秒
・睡眠の質の低下
・感情の不安定化
・注意力や記憶力の低下
ベッドに入っても動画がやめられない、ネガティブ感情を引き起こしやすくなる、短い情報に慣れることで、長期的な集中が難しくなる。

【スライド16:②注意力の向こう側にある集中力:集中できなくなった人類】
・人間の注意力は20歳近くでピークに達し、時間とともに低下する
しかしながら、高齢者の脳も20歳の若者と同じように、情報に集中することができる
・高齢者が苦手なのは、無関係な情報を制御すること
高齢者は、若者よりも多く気が散ってしまう
集中は、自分自身の加齢の指標のひとつにできるかもしれない
・「注意」と「無視」は表裏一体ではなく、「注意」と「抑制」という独立したふたつのシステムを使い分ける必要がある

【スライド17:③注意力を取り戻す:デジタルから注意を取り戻す方法】
■メタ意識を高める
メタ意識:自分の思考や行動を客観的に観察し、理解する能力
デジタル環境では、無意識にデバイスを操作してしまうことが多いため、メタ意識を高めることが重要となる。
【実践方法】
自分がデバイスを手に取る瞬間を意識する。
「今、なぜこのアプリを開こうとしているのか?」と自問することで、無駄な操作を減らすことができる。
定期的に自分の注意がどこに向いているかを確認し、集中力が散漫になっている理由を考えることが効果的。
■注意力リズムを活用する
注意力リズム:個人の集中力が高まる時間帯を理解し、それに合わせてタスクを計画することを指す
【実践方法】
自分の集中力が最も高まる時間帯(多くの場合、午前中や午後の特定の時間)を特定し、その時間に重要なタスクを設定する。
集中力が低下する時間帯には、軽いタスクやルーチン作業を行うことで、エネルギーを補充し、再び集中力を高めることができる。
■暗黙の注意力を管理する
暗黙の注意力:意識的に注意を向けなくても自然に行われる注意
デジタル環境では、常に新しい情報が流れ込んでくるため、これを意識的に管理することが重要である。
【実践方法】
デジタルデトックスを実施し、一定の時間デバイスから離れることで、脳をリセットし、注意力を回復させる。
例えば、週に一度のデジタルデトックスを行うことが推奨される。
また、自然の中で過ごす時間を増やすことも、暗黙の注意力を高める助けになる。
自然環境は、ストレスを軽減し、心を落ち着ける効果がある。

【スライド18:さて、ここからが本題です!】

【スライド19:復習:集中できない人たち】
① 病気や疲労状態などである(黒文字)→病気や疲労状態を先に回復させる必要がある
② 遺伝子特性である(青文字)
③ 脳機能特性である(赤文字)→ちょっと難しいが、成功者がいないわけではない
※自閉スペクトラム症(ASD):シンガーソングライターの米津玄師
※学習障害(LD):タレントのミッツ・マングローブ
上記以外の方は、通常戦略で集中できる!!
HSPとADHDの方は、戦略を変えれば、集中できる!

【スライド20:「注意力」をコントロールする方法:注意力と集中力の定義】

【スライド21:「注意力」をコントロールする方法:注意力と集中力の違い】
・関与する脳の機能が異なる
注意力は「情報の選別と方向づけ」に関わる。(注意力は「スポットライトをどこに当てるか」)
集中力は「その選んだ情報への継続的な関与」に関わる。(集中力は「そのスポットライトを動かさず照らし続けること」)
・改善アプローチが異なる
注意力を高めるには、情報の選び方・遮断の仕方・刺激の制御が重要。
集中力を高めるには、モチベーション・疲労管理・習慣化などが関係する。
・実生活で困るポイントが異なる
「注意力の問題」:いろんなものに気を取られてしまう、注意が散漫。
「集中力の問題」:選んだ作業を続けられない、すぐ飽きる・疲れる。
・心理学の研究領域が違う
注意力は「認知心理学・注意の選択理論」で広く研究されている。
集中力は「動機づけ・行動制御・自己制御」などの文脈で研究されている。

【スライド22:「注意力」をコントロールする方法】

【スライド23:「注意力」をコントロールする方法:①情報の選び方】
・認知的負荷を最適化する
根拠:ワーキングメモリ(作業記憶)は容量が限られており、情報が多すぎると注意が分散する(Swellerの「認知負荷理論」)
方法:一度に処理する情報量を絞り、作業を段階的に行う
具体例:仕事の資料を読む前に、まず「目次」や「要点」だけを確認し、全体像を掴んでから一つずつ詳細を読んでいく。
※いきなりレーンコンディションを考えるのではなく、アプローチチェックやフロントエンドのコンディションを確認する。
・刺激に優先順位をつける(タスクシフティング)
根拠:前頭前野は優先順位づけに関与しており、明確なタスク分類が注意制御を助ける
方法:やること(ToDoリスト)に優先度を付け、重要なタスクから処理する
具体例:「緊急・重要」のタスク(たとえば会議の資料作成)を朝一番に終わらせ、午後は「重要だが緊急でない」学習時間に充てる。
※重要度の高いバックエンドのボールの動きに集中し、ミッドエリアのコンディションはあとから考える
・「注意のフィルター」を意識する
根拠:Broadbentのフィルターモデルにより、選択的注意は訓練可能と示される(カクテルパーティー効果)
方法:目的と関係ある情報だけに意識を向ける習慣をつける
具体例:通勤中、電車内で周囲の雑音を無視し、読書やポッドキャストの内容だけに集中するよう意識する。
※ボックス移動をしても投げないレーンの状況は無視する。

【スライド24:「注意力」をコントロールする方法:②遮断の仕方】
・視覚・聴覚のノイズを制御する
根拠:不要な刺激(マルチタスク)は注意の切り替えコストを上げる(Rubinstein et al., 2001)。
方法:静かな環境、通知オフ、デジタル・ミニマリズムを実施する
具体例:スマホの通知を「集中モード」にし、ノイズキャンセリングヘッドホンを使ってBGMだけを流し、雑音を遮断して作業する。
※左右のレーンと投球者を視界に入れない。
・環境を最適化する
根拠:整理された空間は注意の分散を減らす(Vohs et al., 2013)。
方法:必要最低限の物だけを机に置く
具体例:デスクから本・文房具・食器などを一度すべて取り除き、ノートパソコンとメモ帳だけにして集中環境を整える。
※ボールやポーチのアイテム、私物を散らかさない。
・ポモドーロ・テクニックを活用する(※ポモドーロ:トマト(キッチンタイマー)、サーカディアン:だいたい一日)
根拠:25分集中+5分休憩のサイクルは脳の覚醒水準(ARAS)を保つのに有効
方法:タイマーを活用して、注意が途切れる前に区切りを作る
具体例:スマホタイマーを「25分作業+5分休憩」に設定し、3セットごとに15分の長めの休憩を入れて集中を持続する。
※1ゲームごとに、正しい休憩する。

【スライド25:「注意力」をコントロールする方法:③刺激の制御】
・マインドフルネス瞑想を行う
根拠:前帯状皮質(ACC)と前頭前皮質の活性化が確認されており、注意の再配分能力が向上(Zeidan et al., 2010)
方法:呼吸に意識を向ける簡易的な瞑想から開始する
具体例:朝起きた後や昼休みに3分間、椅子に座って目を閉じ、呼吸に意識を向けるだけのシンプルな瞑想を行う。
※投球時は、呼吸を整える。
・軽い運動・ストレッチを行う
根拠:軽い運動や姿勢の変化は覚醒水準を高め、注意資源をリセット(Ratey, 2008)。
方法:立ち上がって歩く、ストレッチなどを定期的に行う
具体例:1時間ごとにタイマーでアラームを鳴らし、椅子から立ち上がって3分間のストレッチやその場足踏みをする。
※投球待ち時間で、座りすぎないようにする。
・睡眠の質を改善する
根拠:睡眠不足は前頭前皮質と帯状皮質の連携を弱め、注意力低下を引き起こす(Lim & Dinges, 2010)
方法:7〜9時間の睡眠を確保し、同じ時間に寝起きする習慣をつける
具体例:夜22時にはスマホを置いて読書などでリラックスし、23時に就寝、朝7時に自然光で目覚めるルーティンを定着させる。
※前日はしっかり睡眠時間を確保する。

【スライド26:まとめ:「注意力」をコントロールする方法】

【スライド27:「集中力」を発揮する方法】

【スライド28:「集中力」を発揮する方法:①モチベーション】
・フロー状態への誘導を行う
根拠:Csikszentmihalyiの理論によると、課題の難易度と能力が釣り合うと「没入(フロー)」が生じ、集中が最大化する
方法:自分のスキルと少し上の難易度の課題を選ぶ
具体例:普段より少し難しい問題集(例:過去問+αの応用問題)を解いてみる。できそうだけど簡単すぎないレベルを選ぶ。
※いつものアベレージ+10ピンを目指す。
・小さな報酬を設定する
根拠:報酬系(ドーパミン経路)が活性化すると前頭前皮質の集中が高まる(Schultz et al., 1997)
方法:事前に小さな報酬(ガム、休憩など)を設定する(※事前設定が重要)
具体例:「この資料を30分で読んだらお気に入りのチョコを1つ食べる」と事前に決めてから取りかかる。
※事前設定が重要であり、大きすぎる報酬は悪影響を及ぼすので注意する。
・ビジュアルゴールを設定する
根拠:視覚的なゴールは注意を引きつけ、集中の維持に寄与する(Locke & Latham, 2002)
方法:目標を紙に書く・進捗を見える化しておく
具体例:進捗管理シートやホワイトボードに「今週の達成目標」を書き、達成ごとにチェックを入れる。
※具体的な達成目標を書き出しておく。

【スライド29:「集中力」を発揮する方法:②疲労管理】
※実際に集中力を発揮するときに行うものではない
・カフェインを適量摂取する
根拠:カフェインはアデノシン受容体をブロックし、覚醒と集中を一時的に高める(Smith, 2002)
方法:100〜200mg(コーヒー1〜2杯分)を目安にする
具体例:勉強前にブラックコーヒー1杯を飲み、その勢いで90分の集中作業に入る。午後は控えるようにして夜の睡眠に影響しないようにする。
※競技会や大会に前に、コーヒーを1杯飲んでおく。
・集中しやすい時間帯を活用する
根拠:概日リズムにより集中力は日中にピークを迎える(特に起床から2〜4時間後)
方法:例えば、最も重要な作業を午前中に配置する
具体例:朝7時に起床し、朝食後の9〜11時を「最も頭を使う作業」(例:企画立案、執筆など)にあてるようスケジュールを組む。
・適切なBGMを活用する
根拠:α波を促進する音楽は集中を高めることがある(Thompson et al., 2001)。
方法:歌詞のない環境音楽やバイノーラルビートを活用する
具体例:YouTubeやSpotifyで「Lo-Fi Hip Hop」や「集中力アップ α波ミュージック」などのプレイリストを流して作業する。
※歌詞のあるものや好きな音楽は、悪影響が発生しやすいので注意する。
※バックミュージックの大きなボウリング場は、集中力に悪影響を及ぼすと推測できる。

【スライド30:「集中力」を発揮する方法:③習慣化、など】
・「やる気スイッチ」のルーティン化
根拠:行動心理学では「トリガー行動」が集中の入り口になる(Duhigg, 2012)
方法:決まった飲み物、机の整頓、音楽などを集中の合図にする
具体例:作業前に机の上を整頓し、好きなマグカップで緑茶を淹れ、BGMを流すというルーティンを必ず行う。これが「集中の合図」になる。
※競技会・大会のために、スイッチルーティンを作成しておく。
・一貫したルーティンの構築
根拠:習慣化は意志力の消耗を減らし、集中力を省エネで発揮可能にする(Baumeister & Tierney, 2011)
方法:毎日同じ時間・同じ場所で集中作業をする
具体例:平日は毎朝7時半から8時半、自宅のデスクで読書とメモの時間を固定。休日もなるべく同じリズムを守る。
※一度決めたルーティンを守り続ける。
・空間環境の最適化を行う
根拠:整理された空間は注意の分散を減らす(Vohs et al., 2013)
方法:必要最低限の物だけを机に置く
具体例:デスクの上にはノートPC・ノート・ペン・飲み物だけを置き、それ以外は棚や引き出しに収納して視覚的なノイズを減らす。
※ボールやポーチのアイテム、私物を散らかさない。

【スライド31:まとめ:「集中力」を発揮する方法】

【スライド32:どんな戦略を取るべきなのか?:集中できない人たち】

【スライド33:HSPの負け方と勝つための戦略】
※HSPは、とにかく思考・判断に時間がかかる・遅い
・深く考える傾向
情報を詳細に処理し、さまざまな可能性を考慮するため、結果として判断に時間がかかる
したがって、他の人が迅速に結論を出すような状況でも、HSPはじっくりと考えるため、周囲からは「思考が遅い」と言われてしまう
・情報処理の複雑さ
感覚情報を多く受け取り、それを処理する際に時間がかかる
特に、会話や状況の中で、言葉だけでなく感情や非言語的なサインも考慮するため、瞬時に判断するのが難しい
・リスクを考慮する
行動を起こす前に多くのリスクを考慮するため、決断に時間がかかる
これは、慎重さが求められる特性であり、必ずしも思考が遅いことを意味するわけではない
・環境の影響を大きく受ける
周囲の刺激に敏感であるため、騒がしい環境や強い光などがあると、集中力が途切れやすくなる
このため、思考が遅く感じられる
※ボウリングに向いていない、、、
■情報処理を工夫する(※マイナス提案)
深く考えて詳細に処理しない、複雑に処理しない、リスクを考慮しない、環境を無視する
※HSPのメリットが失われてしまう。メリットを生かすためには処理速度を上げるしかないが、、、
■「暗黙の注意力」を使いこなす
※暗黙の注意力とは、ソリティアのような単純作業に没頭している時に使われる注意力の一種
これは特別な精神的努力をせずに行えるタスクに集中している状態を指す
・無意識的なプロセス
暗黙の注意は、意識的な制御なしに行われるため、私たちが気づかないうちに周囲の情報に反応することができる。
例えば、騒がしい場所で自分の名前を聞いたときに反応するのは、暗黙の注意の一例。
・自動的な情報処理
このタイプの注意は、特定の刺激に対して自動的に引き寄せられることが多く、意識的に選択することなく情報を処理する。
例えば、視界の端で動くものに気づくことなどが挙げられる。
※これらに振り回されるのではなく、使いこなすことができれば、HSPのメリットを生かすことができる
※息をするように、、、
※一度できるようになったことは、永久にできる、、、
※HSP特性で無意識で収集している情報を、すべて処理して速度を落とさないための、高速処理トレーニング、、、

【スライド34:ADHDの負け方と勝つための戦略】
※ADHDは、集中していない状態がデフォルト
・注意が拡散しやすい
・ひとつに集中しづらい
・飽きっぽい
※ほかの人たちと同じ戦略を取ることこそが、ADHDの負けにつながる
※ADHDは、「固定概念に囚われない発想」があることが、いちばんのメリット
■マルチタスクを活用する
一つのタスクに飽きたら別のタスクに切り替えていく方法が効果的
みんなと同じやり方ではなく、自分に合った異なるアプローチを見つけることが重要
※ADHDのメリットを生かすと、ほかの人たちでは活用できない「マルチタスク」が有効になる
■ 「ハイパーフォーカス」を使いこなす
特定の活動や興味に対して非常に強い集中力を発揮する状態を指す
この状態に入ると、周囲の状況や時間の経過を忘れてしまうことがあり、食事や睡眠を犠牲にすることもある
ADHDは、特に興味を持つタスクに対してこの状態に入りやすいとされている
・メリット:高い生産性(短時間での成果)と創造性の発揮(クリエイティブな作業や問題解決に独自のアイデア)
・デメリット:生活の質の低下(食事・睡眠をおそろかにし、約束や仕事を守るのがむつかしい)と社会的な孤立(希薄なコミュニケーション)

【スライド35:本日の講義がこれで終わるとお思いか?】

【スライド36:デジタルデトックスに挑戦しよう!】
■なぜ「注意力」に効くのか?
スマホの通知、SNSの情報洪水、常時接続状態は「注意資源」を浪費させる(Cognitive Load)。
デジタルデトックスによって、注意のリソースを奪う刺激を物理的に断つことで、注意の選択精度が向上する。
根拠:Broadbentの「フィルターモデル」や「注意の容量理論」によれば、注意資源は有限であり、刺激が多すぎると選択精度が落ちる。
■なぜ「集中力」に効くのか?
常時情報にさらされると、脳の報酬系(ドーパミン)が枯渇し、集中を維持しづらくなる。
一時的にデジタル刺激から離れることで、精神的回復(リカバリ)が進み、再び集中しやすくなる。
根拠:デジタル疲労の研究では、スクリーンタイムが長いほど前頭前野の持続活動が低下する(Mark et al., 2012)。
脳の疲労理論(mental fatigue theory)に基づき、刺激遮断が自己制御能力の回復に有効。

【スライド37:ステップ0:目的を明確化する】
・なぜやるかを言語化
例えば:競技会や大会でボウリングに集中して良い成績を出したい

【スライド38:ステップ1:デジタル刺激の『見える化』と制限】
・使用ルールの設定
例えば:競技会と大会中はスマホを使わない

【スライド39:ステップ2:『環境の遮断』による自動化】
・通知をすべてオフ
・作業時はスマホを視界から外す
・デジタル機器の物理的距離
例えば:ボックス(レーン)に入ったらスマホはカバンの中にしまう

【スライド40:ステップ3:『デトックス時間』の導入】
・デジタルデトックス時間をつくる
例えば:夜寝る前の30分はスマホをナイトモードに切り替えて操作をしない
・オフラインで代替活動をする
例えば:紙の本で読書する、メモは紙に書く

【スライド41:ステップ4:週単位の『半日 or 1日オフライン』】
・「デジタルオフの日」を週に1日設ける
例えば:毎週休みの日の午前中は、スマホを禁止する

【スライド42:ステップ5:生活習慣全体の見直しと定着】
・朝と夜の「ルーティン」に組み込む
例えば:朝の30分と夜の30分は、スマホを禁止する
・見たくなる仕組みを『逆ハック』
※人間は手間がかかると、それを実行しようとしなくなる
例えば:フォルダ管理で2階層下に置く、アプリを消してWebから操作する、自動的にログアウトする設定にする

【スライド43:本日の結言】

【スライド44:終】