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真のスポーツ選手に必要なスキルとは【論文から考察】

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真のスポーツ選手に必要なスキルとは【論文から考察】

「エンジョイ勢」「ガチ勢」とは、ゲームやスポーツにおけるプレイヤーの異なるスタイルを表す言葉として使われる。エンジョイ勢は、楽しむことを目的とし、体験を重視する。ガチ勢は、真剣に勝利を追求し、最高の結果を目指す姿勢が特徴である。どちらのスタイルも、ゲームやスポーツを楽しむための異なるアプローチであり、もちろん優劣などない。

しかしながら、この記事を訪れたあなたは、「ガチ勢」もしくは「ガチ勢になりたい」プレイヤーである、と私は考えている。

実際に、ガチ勢やプロスポーツ選手はどのようにして優れたスキルを身につけているのだろうか。科学的論文などから考察し、基本スキルから応用スキルまで、段階的に紹介していく。

  • ステージ1:基礎を固める
  • ステージ2:感情と目標のコントロール
  • ステージ3:フローとリラックス

ステージ1:基礎を固める

① オートパイロット機能の習得

プロ選手にとって、動きを無意識に行える「オートパイロット」機能の習得は重要である。基礎動作を徹底的に反復し、無意識のうちに身体が動けるようにすることで、動作の精度とパフォーマンスが向上するだろう。

例えば、シカゴ大学の研究(2001年)では、プロゴルファーがスイングフォームに過度に意識を向けた場合、かえってパフォーマンスが下がることが確認されている。過剰に意識を向けすぎることで身体のリズムが乱れ、無意識で行えるはずの動作がぎこちなくなり、結果として力みやミスを招いてしまう。

一般的に言われる「練習」は、この「オートパイロット機能を習得」することが、最初の目的として挙げられる。また、競技に適した身体行動を覚えたあとは、動作を修正、進化させていくことが、オートパイロット機能の習得に含まれるだろう。

オートパイロット機能を身につけるためには、ふたつの方法が有効である。

基礎動作の反復練習

日々の練習で基礎的な動作を身体に覚えさせる

試合本番では意識を解放する

練習で身につけた動きを信じ、過度な意識を避ける

日々の練習と試合を繰り返し、無意識で動けるオートパイロット機能を鍛え、本番で力を発揮できるスキルを手に入れて欲しい。

② 集中コントロールのスキル

現代社会では、注意散漫になる要因が多く、集中力の低下が問題視されている。

【詳しくはこちら】
→集中力の育て方 #1【初級編】

スポーツ選手は周囲のノイズやプレッシャーの中でも、自分の集中力を発揮することが求められる。しかり、まわりのヤジだけでなく声援ですら、集中力が阻害される要因となってしまう。

あなたが集中力をコントロールするために、効果的な方法として、ふたつのテクニックを紹介する。これらの方法は、プロスポーツ選手や米軍の特殊部隊でも取り入れられている手法であり、気持ちを集中させる効果があるとされている。

センタリング

センタリングとは、身体の中心に意識を向けることで、集中力を高める方法である。精神を落ち着け、目の前のタスクに集中することができるだろう。

  1. 腹式呼吸に集中する(深く息を吸い、ゆっくり吐く)
  2. 身体の中心(丹田:へその下約5cm)に意識を向ける
  3. ネガティブな感情が抜けていくようにイメージする

ボディスキャン

ボディスキャンとは、全身の緊張状態を確認し、リラックスする方法である。

  1. 脚の裏から眉間まで、順番に意識を向け、身体の各部分の緊張をチェックする
  2. 緊張を感じる部分を見つけたら、その部分に一度力を入れてから緩める
  3. 注意が散漫になったら、呼吸に意識を戻して再開する

特に気をつけるべきことは、緊張や不安を感じたときは緊張が増して、それがさらに不安を増幅させるという悪循環に陥りやすいことである。これを防ぐために、このふたつのテクニックを試してみて欲しい。

集中力をコントロールすることで、パフォーマンスの安定感が向上し、試合中でも焦らず自分のプレイができるだろう。

ステージ2:感情と目標のコントロール

スポーツで高い成果を出すためには、技術の習得だけではなく、感情や目標の適切なコントロールが欠かせない。感情を安定させながらも、成長し続けるためのスキルを紹介する。

① 感情のコントロールスキル

スポーツでは、とにかく感情のコントロールが欠かせない。なぜならば、試合中や練習中、選手は緊張や不安といったネガティブな感情に直面するからだ。そして、ネガティブだけではなく、うまく競技できたことや点数が取れたことなどで、ポジティブな感情や自らの興奮に飲まれてしまうことがある。また、これらの感情を完全に抑え込もうとすると逆にプレッシャーを感じ、パフォーマンスに低下につながってしまう。

いくつかの研究では、ネガティブな感情を無理に抑え込むのではなく「波のように流れるもの」として捉えることが重要であるとされている。この視点を持つことで、感情に飲み込まれずに冷静な判断をすることができる。

具体的な実践のポイント

  1. 感情を意識して観察する
    感情が高ぶったときは、それを無理に抑え込まず、今自分がどのように感じているのかを冷静に観察する
  2. 感情を自然な反応だと受け入れる
    「今、緊張している」「不安がある」という自分を、まず受け入れる
  3. 呼吸を意識してリラックス
    深い呼吸を取り入れ、リラックス状態を促し、冷静さを取り戻す

こうした方法を使って、感情を無理に制御するのではなく、むしろ「観察し、受け流す」ことで落ち着いた状態を保つスキルが身につくだろう。

(参考:スタンフォードのゲインフレームワーク(ストレス対処法:アクセプタンス))

② 習熟目標の設定スキル

目標設定はパフォーマンスの向上に直結するが、成功するためには「他人との比較」や「結果主義」から離れ、「習熟目標」に焦点を当てることが重要だ。あなたが良いパフォーマンスを発揮することと、隣の選手より良いパフォーマンスを発揮できることは、全くの別問題であるからだ。あくまで習熟目標とは「新しいスキルを身につける」「既存の能力を向上させる」といった、あなた自身の自己成長を目的とする目標である。

習熟目標のメリット

  1. 成長過程を大切にする
    結果を出すこと以上に、毎日の努力や改善点を評価する
  2. 失敗や挫折を学びとする
    失敗があっても、成長プロセスの一部として捉え、次に進む力に変えていく

習熟目標の設定

① 基本姿勢
  • 自己基準で目標を設定する
    他人と比べるのではなく、自己成長を重視し、自分にとって必要な目標を設定する
  • 承認欲求にとらわれない
    自分が本当に実現したい目標に集中する
② 設定方法
  • 段階的に目標を設定する
    「次のレベル」「次のレベル」と、小さな目標を積み重ねていくことで、成長を実感しやすくする
  • セーブポイントを設ける
    セーブポイントとは、ゲームで進行状況を保存する機能を指す。中断したときにデータをロードすることで、中断時の状況(セーブポイント)からの再開できる。
    失敗したときでも、一度目標を見直して修正しやすいように、「セーブポイント」を設定しておき、セーブポイントから再開することで、気持ちを楽にして取り組むことができる。
③ 目標設定の注意点
  • 現実的な目標設定
    大きすぎる目標はモチベーション低下の原因となるため、現実的かつ挑戦しがいのある目標にする
  • 関連性のない要素も尊重する
    目標に直接関係しない要素にも価値を見いだすことで、柔軟な視点を持つことができる
④ 長期的な視点を持つ
  • 短期的な結果に固執しない
    試合の成績だけに注目するのではなく、学びの課程を大切にする
  • 予期しない発見にオープンでいる
    新しい成長機会に対して柔軟な姿勢を持つことも、自己成長につながる

どうしても「簡単」「すぐ」「誰でもできる」「魔法の方法」「極秘ワザ」「プロのコツ」などのパワーワードに心惹かれがちになるが、一気にレベルMAXを目指すのではなく、着実に経験値を積み重ねていくべきだろう。

ステージ3:フローとリラックス

① フロー状態(ゾーン)に入るスキル

スポーツでは、選手が「フロー状態(ゾーン)」に入ると、すべてのプレイが理想的なパフォーマンスに達することがある。このフロー状態は、極度に集中した結果、無意識で動けるような状態を指している。フローを体験できると、技術を最大限に発揮でき、試合中も理想的なプレイが可能となるだろう。

フロー状態を引き出すためのポイント

  1. 集中力を段階的に高める練習
    日常の練習で少しずつ高い集中を体感することで、フロー状態に入りやすくなる
  2. 自己意識を手放す
    プレイに没頭することで、周囲の状況や雑念を手放し、プレイそのものに浸ることができる

自らの意識でフロー状態を作り出すのは、本当に難しい。まずは、少しずつ集中力を鍛えることでプレイへの没頭力を上げていって欲しい。

【詳しくはこちら】
→集中力の育て方 #1【初級編】

② リラクゼーションのスキル

フロー状態を引き出すためには、試合前や重要な局面で緊張を解かなければならない。そのために「リラクゼーション法」を定期的に練習し、精神と身体をリラックスさせる力を養っておく必要がある。呼吸法や瞑想などを日常的に取り入れる(理想的には毎日20分程度)と、競技中の緊張をコントロールしやすくなるだろう。

ここでは、ひとつ「1分間リラクゼーション」を紹介する。

1分間リラクゼーション

  1. 簡易ボディスキャン
    全身の緊張をチェックし、特に緊張が強い部分を意識する
  2. 呼吸法(メイン作業)
    5秒かけてゆっくり吸い、10秒かけてゆっくり息を吐く。この呼吸を3回繰り返す。

呼吸に意識を集中し、「吐く」動作に特に注意を向けることで、リラックスさせやすくなるだろう。浮かんでくる雑念は追い払わず、呼吸に意識を戻すだけで十分に効果が出るだろう。試合前でも会議中でも、人前でも、気付かれずにこっそり実践できるリラクゼーション方法である。緊張に悩む人は、ぜひこのスキルを習得してみて欲しい。

まとめ:真のスポーツ選手に必要なスキルとは【論文から考察】

真のスポーツ選手に必要なスキルは、技術のみならず、精神的なスキルも含まれる。なぜならば、試合での集中力や緊張の緩和、感情のコントロールは、パフォーマンスに大きな影響を与える要素だからだ。基礎的なオートパイロット機能や、習熟目標の設定方法を通じて、長期的な視点で自己成長を図ることがスポーツで成功するための鍵となるだろう。

また、目標を設定する際には「次のレベル」や「その先のレベル」を段階的に設け、小さな目標の達成を積み重ねていくことが大切だ。目標達成のために自分に厳しくなる一方、予期しない成長機会にも柔軟に対応するオープンな姿勢を持ち続けたい。

こうした精神的スキルは、プロ選手だけでなく、どんなスポーツに取り組む人にも有益なものとなる。これらを意識し、少しずつスキルを身につけることで、あなたも「真のスポーツ選手」に近づくことができるだろう。

 

【参考文献】
(Amazon)NEWS Diet
(Amazon)ヤバい集中力
(Amazon)一流の外科医が実践する修練の法則

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満稀(みつき)
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全くボウリングに向いていない運営者
ボウリングに向いている部分は、なにひとつありません。なにひとつ向いていないからこそ、ひとつひとつに対して、ボウリングについて真剣に考えます。
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