書籍レビュー:より少ない生き方・より少ない家大全【ジョシュア・ベッカー】
大好きなモノを片付けられない人に役立つのが『より少ない生き方』『より少ない家大全』です。大切なのは「何を減らすか」ではなく「何を大切にするか」を決めること。チェックリストで判断を助け、メンテナンスの考え方で増え戻りを防ぐと、最小化ではなく最適化として片付けが続きます。
書籍レビュー:より少ない生き方・より少ない家大全【ジョシュア・ベッカー】
片付けや断捨離、ミニマリストという言葉は、ここ数年ですっかり一般的になりました。このブログでは、それらをさらに一歩進めた「最適化(オプティマイズ化)」という考え方をおすすめしています。単にモノを減らすのではなく、自分の価値観に合った状態へ整えていくこと。その結果として、暮らしが楽になり、人生そのものが軽くなると考えているからです。
私はこれまで、たくさんのモノと向き合ってきました。衣類、家具、日用品、趣味の道具。試行錯誤を重ね、ほとんどのジャンルでは自分なりの最適解を見つけることができました。それでも、どうしても片付けが難しいものがありました。それが「本」です。
私は本が大好きです。小さい頃、親に「何が欲しい?」と聞かれて「図書館」と答えたほどです。今でも、図書館や本屋さんに住めたらどんなに幸せだろう、と思うことがあります。
そんな私にとって、本を手放すことは簡単ではありません。しかし冷静に見渡すと、本にもさまざまな種類があります。
- 一度読めば十分な本
- 何度も何度も繰り返し読む本
- 途中で合わないと感じ、最後まで読めなかった本
電子書籍が普及し、以前ほど収納に困らなくなったとはいえ、気づけば本棚はぎゅうぎゅう。積読の山を前に、「これは本当に必要なのだろうか」と立ち止まるようになりました。
そんなときに出会ったのが、この2冊です。
(Amazon)より少ない生き方 ものを手放して豊かになる
(Amazon)より少ない家大全
1冊目の『より少ない生き方』は、「ものを手放して豊かになる」ための思想や価値観を扱った理論編です。ミニマリズムとは何か、なぜ私たちはモノを持ちすぎてしまうのかを、丁寧に紐解いてくれます。
2冊目の『より少ない家大全』は、その実践編です。家という具体的な空間を舞台に、行動のヒント、ミニマル化のチェックリスト、そして維持するためのメンテナンスガイドまで示してくれます。
今回は、この2冊から得た気づきを、私なりの感想を交えながら整理します。
- 大切にしているモノを最優先にする(より少ない生き方)
- モノをいくら買っても幸せにはなれない(より少ない生き方)
- 残りの人生を最大化する(より少ない家大全)
- ミニマル化のチェックリスト、メンテナンスガイド(より少ない家大全)
大切にしているモノを最優先にする
本書で繰り返し語られるのは、「ミニマリズムは、すべてを捨てることではない」という点です。整理整頓でも、禁欲でもありません。自分にとって大切なモノを最優先にすること。それがミニマリズムの本質だと述べられています。
家を持てば幸せ、車を持てば幸せ、〇〇があれば幸せ。そう信じて手に入れても、実際には満たされなかった例が、本書では数多く紹介されます。
本が嫌いな人が、読まない本をコレクションすることは幸せでしょうか。手芸をしない人が、手芸用品で部屋を埋め尽くすことはどうでしょう。車に興味がない人が、高級車を所有する意味はあるでしょうか。
一方で、本が好きな人が、読書のための時間と空間を大切にする。手芸が好きな人が、必要な道具と素材を整え、制作に没頭できる環境を持つ。車が好きな人が、免許を取り、手入れをする時間まで含めて楽しむ。
これこそが、目指すべきミニマル化だと私は強く感じました。
モノをいくら買っても幸せにはなれない
人は子どもでも大人でも、欲しいものが目の前に現れると我慢が難しくなります。本当に必要かどうかよりも、商品の魅力に心を奪われてしまうからです。
幸せと過剰な消費は、同じものではありません。自分自身の価値基準を知らなければ、何を買っても満たされない状態が続きます。
現代では、高機能デバイス、理想的な休暇、最新ファッションが「承認」を得る手段だと信じられがちです。しかし、それは広告業界の巧妙な戦略でもあります。
住まない大豪邸のローンを払いたい人はいないでしょう。運転しない高級車のローンを契約する人も少ないはずです。では、読みもしない本、使いもしない道具はどうでしょう。そして、高機能デバイスや流行の服は、本当に自分のためでしょうか。
モノは、あなたの幸せのために買うものです。たくさんのモノが、あなたを幸せにするわけではありません。この視点を持つことが、最適化への第一歩だと感じました。
残りの人生を最大化する
所有物を最適化すると、人生の資源(リソース)が増えます。お金と時間、そして思考の余白です。
住まない家のローンのために、無理に働く必要はありません。あなたを幸せにしないモノの支払いに追われる必要もありません。
私は、本を読む時間、学ぶ時間に価値を感じています。そのために本を買い、学び、考えることに幸せを感じています。そして、それ以外のモノに対して「ノー」と言えるようになりました。
読まれずに眠る本のために家賃を払うのではなく、本当に大切な本を手元に置き、広くなった空間でコーヒーを飲みながら読書をする。その時間こそが、私にとって人生を最大化する行為でした。
ミニマル化のチェックリスト、メンテナンスガイド
『より少ない家大全』の大きな特徴のひとつが、「読んで終わり」にさせない構成である点です。本書には、ミニマル化を進めるためのチェックリストと、整えた状態を維持するためのメンテナンスガイドが丁寧に用意されています。
理論を理解しても、実際に何から手をつければいいのかわからず、結局行動できない。片付けや最小化では、こうした壁にぶつかることが少なくありません。本書は、その停滞をとても現実的な方法で乗り越えさせてくれます。
チェックリストは、自分の所有物や暮らしを客観的に見直すための「補助線」のような役割を果たします。何を残し、何を手放すかを感覚だけで判断するのではなく、問いを通して整理できるため、迷いが少なくなります。場所ごとに整理されている点もわかりやすく、実践しやすい構成だと感じました。
さらに重要なのがメンテナンスガイドです。ミニマル化は、一度やって終わりではありません。時間が経てばモノは増え、暮らしの状況も変化します。本書では、ミニマリズムを維持するための指針として、日常・週単位・季節ごと、あるいはカテゴリーごとといった視点で整理された考え方が示されています。
これらの構成によって、『より少ない家大全』は単なる思想書にとどまらず、日常生活に無理なく落とし込める実践書として機能します。読みながら少しずつ手を動かし、自分の暮らしに合わせて調整していける点が、この本の大きな魅力です。
私がこの本を読んで実践したこと
私が実践したのは、次のようなことです。
- 紙の書籍は本棚に収まる分だけ
- 読まれない本を収納することに意味はない
- 本は読まれ、影響を与えてこそ使命を果たす
- 何度も読み返さない本は寄付する
本は可能な限り寄付しました。中古買取やフリマサイトという選択肢もありますが、私にとっては手間と気持ちのバランスが合いませんでした。気持ちよく手放せる方法を選ぶことが大切だと思います。
また、まずは図書館を利用し、本当に手元に置きたいと思ったときだけ購入する。その際は、電子書籍か紙かをきちんと検討するようになりました。
まとめ:書籍:より少ない生き方・より少ない家大全
この2冊に出会ったことで、私が最も苦手としていた「本の片付け」と真正面から向き合うことができました。ただ減らすのではなく、なぜ手放すのか、なぜ残すのかを考える視点を得られたことが大きな変化です。そしてこの考え方は、本に限らず、衣類や道具、時間の使い方など、あらゆる最小化・最適化にも応用できるものだと感じています。
大切なのは、何を減らすかではありません。
何を大切にして生きたいのかを明確にし、そのために環境を整えることです。 『より少ない生き方』『より少ない家大全』は、ミニマリズムを理想論として語るのではなく、日常に落とし込み、維持し続けるための視点まで示してくれます。静かでありながら、暮らしの軸を見直すきっかけを与えてくれる、そんな力強さを持った一冊だと感じました。
おまけ:本から広がる暮らしのヒント
ここからは、本から広がる小さな暮らしのヒントを紹介しますね。
私が暮らしにどう活かしたか
『より少ない生き方』『より少ない家大全』を読んでから、私は「本の持ち方」を見直しました。以前は、いつか読むかもしれない、役に立つかもしれないという理由で、本を増やし続けていました。その結果、本棚は埋まり、読みたい本を選ぶこと自体が負担になっていました。
今は「何度も読み返したい本だけを手元に置く」という基準を持っています。一度読めば十分な本は図書館で済ませ、迷うものは買わない。基準を決めたことで、本の量だけでなく、選ぶ時間や迷いも減りました。大切なものを最優先にすると、暮らし全体が自然と整っていくのだと実感しています。
おすすめKindle端末
「より少なく生きる」ことを意識するようになってから、読書の形も見直しました。紙の本は厳選し、それ以外は電子書籍で読むようにしています。Kindle端末を使えば、本棚を増やさずに多くの本に触れることができ、必要なものだけを手元に残すという考え方とも相性が良いと感じました。
特に電子書籍リーダー『Kindle Paperwhite』は、目に優しく、長時間の読書でも疲れにくい点が魅力です。紙の本を減らしながらも、読書の時間そのものは大切にしたい人にとって、暮らしを軽くする道具のひとつとしておすすめできます。
著者の別作品
『より少ない生き方』『より少ない家大全』の著者について調べてみると、日本では邦訳されている別作品は多くありません。そのため、日本語で読める著者の関連書は限られているのが現状です。
ただし、この2冊には「より少なく生きる」という思想と、それを暮らしの中でどう実践し、維持していくかが十分に詰め込まれています。別作品を追いかけなくても、この2冊を繰り返し読み、自分の生活に照らし合わせていくだけで、学びは尽きないと感じています。
