書籍レビュー:家族が片づけられない【井上能理子】

『家族が片づけられない』は、自分ばかり片付けをして疲れてしまう人に寄り添う一冊です。協力してくれない家族への不満やストレスを理解し、現実的な向き合い方を学べます。
書籍レビュー:家族が片づけられない【井上能理子】
片づけ嫌いではないのに、なぜか「自分ばかりが片づけている」と感じて疲れてしまう。家族が協力してくれず、イライラやストレスが溜まってしまう。
「もう少し家族も手伝ってくれればいいのに」と思いながらも、現実にはなかなか思うようにいかない…。そんな経験はありませんか?
そんなときに手に取ってほしいのが、『家族が片づけられない【井上能理子】』 です。
家族が片づけられない理由には、いくつかの大きな要因があると考えられています。
- 目的意識やモチベーションが低い
- ストレスや抵抗感が強い
- 考え方や基準、前提条件が違う
- 仕組みや環境が整っていない
- スキルや習慣がない
こうした理由が重なって「片づけをしない・できない・やりたくない」という状況に陥ります。そして結局、誰かが片づけなければならず、その役割を自分が背負ってしまう――その苦しさはとても身近に感じられます。
本書は、そんな現実をどう受け止め、どう向き合うのかを具体的に語ってくれます。この本の中から、悩んでいるあなたに伝えたい3点を紹介します。
- 自分で片づける
- 家族が片づける
- 掃除や片づけをするということ
自分で片づける
自分で片づけられる部分は片づけてしまいましょう。作者の井上さんは、実家が「汚部屋」になっていたことに衝撃を受けながらも、自分でできる範囲から片づけを始めます。
・1日目 ゴミとホコリを追放。
大事な物・家族の許可がいりそうな物以外は分別して容赦なく捨てる、スペースが空いたら掃除機をかける
・2日目 台所を救え。
流し、コンロ周りなどの掃除
・3日目 トイレの神様に謝る。
魔境になってしまったトイレ掃除
・4日目 風呂場を清めよ。
水場の難関の風呂場掃除
・5日目 猫飼いはつらいよ。
獣臭への取り組み方
・6日目 設備をどうにかする。
床・壁・家具などの修繕
お掃除七つ道具を駆使し、台所やトイレ、お風呂場と、一つひとつ手をつけていく過程は読み物としても引き込まれます。作者が自分で考え、工夫しながら片づけを進める姿は、同じように悩む人に勇気を与えてくれます。
家族が片づける
けれども、家をキレイにしたからといって、家族が自然と片づけてくれるわけではありません。
家族の性格や習慣は変えられなかった
家族が片づけられない(抜粋)
他人を変えることはできない
家族であってもだ
家をキレイにしたいだけだったはずなのに、掃除をすると家庭の問題が見えてきて、作者自身が追い詰められてしまいます。作者は「家の中がキレイになれば、家族も片づけてくれるようになる」が幻想だったことに気付きました。
掃除についての本をたくさん読んだところ、「片づけることで生活は良い方向に変わっていく」と書いてある本が多く、それに期待して掃除をしてしまったと語ります。しかし、なかなか本のようにはいかないことも併せて語ってくれます。
「自分が頑張ればすべてうまくいくはずだ」と思い込んでいた作者が、その限界に気づく過程は、同じ悩みを持つ人に寄り添う言葉と勇気になります。
掃除や片づけをするということ
私自身も、家族を亡くしたことで「片づけられなくなる」という状況を経験しました。思い出を捨ててほしいわけではない、でも片づけてほしい。複雑な気持ちのまま、なすすべがなくなったことがあります。
本書には、こんな言葉が出てきます。
掃除をするというのは心の整理をすることであり
家族が片づけられない(抜粋)
それまでの生き方を確認する行為であり
自分がどんな生き方、暮らし方をしたいのかを問われることであり
特に人の生き方に介入することでもある
作者が言うとおり、片づいていればいいというものではない、と私は思います。きちんとして欲しいと言うことに意味はなく、例え親であってもできないことがあり、みんなそれぞれ違う人間で違う人生を歩んできているのです。だからこそ、掃除や片づけで「何を整理するのか」は、それぞれがそれぞれに向き合わなければいけないことなのでしょう。
片づけは単なる「きれいにする行為」ではなく、暮らし方や生き方そのものと深くつながっているのだと、作者は答えのひとつを示してくれました。この答えのやさしさを、ぜひあなたにも感じて欲しいです。
家族と協力して片づけられるなら
一方で、もし家族が協力してくれるのなら、本書と合わせて読みたいのが 『理系夫のみるみる片付く! 整理収納術【くぼこまき】』です。
目的や基準を家族で共有し、仕組みを整える大切さが解説されています。併読することで「自分ひとりで頑張る片づけ」と「家族と一緒に進める片づけ」の両方の視点が得られます。
・詳しくはこちら
→書籍レビュー:理系夫のみるみる片付く! 整理収納術【くぼこまき】
まとめ:家族が片づけられない【井上能理子】
『家族が片づけられない【井上能理子】』は、片づけを自分ひとりで抱え込んで疲れてしまう人に寄り添う一冊です。
- 自分で片づける
- 家族が片づける
- 掃除や片づけをするということ
この3点を知ってもらい、協力してくれない家族に不満やストレスが溜め込んでしまう前に、自分ひとりで片づけ疲れ果て、片づけ嫌いになってしまわないように、あなたに寄り添うこの一冊から元気をもらって下さいね。
おまけ:本から広がる暮らしのヒント
ここからは、本から広がる小さな暮らしのヒントを紹介しますね。
私が暮らしにどう活かしたか
「家族は変えられない」という言葉を読んで、私は無理に期待を押しつけるのをやめました。結果、気持ちが楽になり、自分ができる範囲に集中できるようになりました。
おすすめKindle端末
本の収納に悩む人には、Kindle電子書籍リーダー『Kindle Paperwhite』をおすすめします。片づけ本を何冊読んでも、本棚が散らからないのは大きな利点です。
著者の別作品
井上能理子さんの著作は限られますが、片づけと家族の関係をより深く考えるためには、この本が特におすすめです。続刊はありませんが、テーマ性の強い本なので一冊で十分に深く学べます。